相続税は、相続財産に対して課される税金で、遺産を受け取る際には避けて通れない重要なポイントです。しかし、相続税の計算方法が複雑であるため、多くの方が頭を悩ませることも少なくありません。そこで今回は、相続税の基本的な算出方法を簡単に解説します。これを読めば、相続税の概要を把握し、適切な対策を立てる一助となるでしょう。

1. 相続税の課税対象を把握する

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産を受け継ぐ際に、その遺産に対して課される税金です。まずは、相続税の課税対象となる財産を把握しましょう。具体的には以下のような財産が該当します。

- 不動産(土地・建物)
- 金融資産(預貯金、株式、債券など)
- 動産(自動車、貴金属、絵画など)
- 生命保険金
- 退職金

2. 相続税の基礎控除額を理解する

相続税の計算において、まず知っておきたいのが「基礎控除額」です。基礎控除額は、相続税の計算において非課税となる金額のことを指します。2023年現在、基礎控除額は以下のように定められています。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円 となります。この金額以下の遺産については相続税がかかりません。

3. 課税遺産総額の計算

次に、相続税の課税対象となる「課税遺産総額」を計算します。課税遺産総額は、被相続人が残した財産総額から基礎控除額を差し引いた金額です。具体的な手順は以下の通りです。

1. **遺産総額を計算**:被相続人の遺産をすべて合計します。
2. **非課税財産を除外**:生命保険金の一部や退職金の一部など、非課税となる財産を遺産総額から差し引きます。
3. **債務や葬儀費用を差し引く**:被相続人が残した借金や葬儀費用も遺産総額から差し引きます。
4. **基礎控除額を差し引く**:最後に、上記で計算した基礎控除額を差し引きます。

4. 相続税額の計算

課税遺産総額が算出できたら、次に相続税額を計算します。相続税額は、課税遺産総額に対して適用される税率によって決まります。税率は累進課税方式で、遺産額が大きいほど高い税率が適用されます。2023年現在の税率は以下の通りです。

| 課税遺産総額 | 税率 | 控除額 |
| --- | --- | --- |
| ~1,000万円 | 10% | 0円 |
| 1,000万円~3,000万円 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円~5,000万円 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円~1億円 | 30% | 700万円 |
| 1億円~2億円 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円~3億円 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円~6億円 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |

例えば、課税遺産総額が5,000万円の場合、税率20%が適用され、控除額200万円を差し引いた金額が相続税となります。

5. 各相続人の負担額を計算

最後に、相続税額を各相続人がどの程度負担するかを計算します。法定相続分に基づき、各相続人に対する課税額を按分します。

まとめ

相続税の算出方法を理解することで、遺産を受け継ぐ際の負担を軽減するための対策を講じることができます。専門家の助けを借りることも重要ですが、まずは基本的な知識を身につけておくことが大切です。相続税について不明な点がある場合は、専門の税理士や弁護士に相談することをお勧めします。

投稿者プロフィール

高田 直史
高田 直史
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